みなさんは「ビレッジハウス」にどんなイメージを持っていますか?
「古い団地」というイメージがつきがちですが、実は「雇用促進住宅」をリフォーム・リノベーションして提供しているお部屋なんです。
私は3年以上ビレッジハウスに住んでいましたが、確かに古さを感じることはあります。しかし、その歴史こそが、このビレッジハウスの魅力でもあります。
今回のブログ記事では「ビレッジハウスと雇用促進住宅の関係」について紹介するので、お部屋探しの参考にしてみてくださいね。
雇用促進住宅とは?廃止の理由は?
まずは、雇用促進住宅とはどのような集合住宅なのかについて紹介します。
雇用促進住宅は、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)」が管理している団地です。
この「独立行政法人」というのは、国の事業を分離して運営している組織で、雇用促進住宅はその一環として建てられた、言わば公営住宅となっています。
雇用促進住宅の運営は1960年代から行われており、現在では築50、60年が経過した建物も多く存在します。
この住宅は、雇用促進の名の通り、職業が安定して新しい住居を確保するまで、低家賃で生活できる環境を提供することを目的としています。
しかし、近年の雇用促進住宅の入居者減少や雇用保険法の改正により、その役割は2021年度までに終了し、建物は民間に譲渡または廃止されることが決まりました。
この譲渡・廃止計画が進む中、2016年には全国約2900棟の競争入札が行われ、多くの建物が「フォートレス・インベストメント・グループ」に買い取られました。
雇用促進住宅とビレッジハウスの関係とは?
雇用促進住宅が譲渡・廃止となった理由はわかりましたが、ビレッジハウスとはどのような関係があるのでしょうか?
雇用促進住宅を多く買い上げたのは、アメリカの投資運用会社である「フォートレス・インベストメント・グループ」です。
この企業は700億ドルを超える運用資産を有するハゲタカファンドとして知られています。
ハゲタカファンドは、危機に瀕した企業を安く買い取り、再建してから高値で売却して利益を上げる手法で運営されています。
2016年、「フォートレス・インベストメント・グループ」は雇用促進住宅を買い取り、それに伴い「ビレッジハウス・マネジメント株式会社」を設立し、ビレッジハウスの運営・管理を手がけました。
その後、2017年に「ソフトバンクグループ」が「フォートレス・インベストメント・グループ」を買収し、フォートレス・インベストメント・グループはソフトバンクグループの子会社となりました。
結果、ビレッジハウスはソフトバンクグループの運営する賃貸物件となりました。
ビレッジハウス公式サイトの一番下には、「私たちはソフトバンクグループの一員です」と明記されています。
ビレッジハウスの家賃が雇用促進住宅並みに安い理由とは?
ビレッジハウスは元々雇用促進住宅として建てられた建物を「フォートレス・インベストメント・グループ」が格安で取得したものです。
西ブロック27府県626か所1638棟を366億2200万円、東ブロック20都道県522か所1271棟を248億2482万6千円で落札。
これを1棟あたりの金額に換算すると、おおよそ2200万円となります。
私が住んでいたビレッジハウスは1棟に40部屋あったため、2200万円を40部屋で割ると1部屋あたり55万円となります。
ビレッジハウスの家賃は2万円~となっているので、単純計算で3年程度で回収できる金額となります。
もちろん、雇用促進住宅は古い建物であり、リフォームやリノベーションなどの諸経費がかかるため、もっと多くの費用が掛かると思いますが、一般的な賃貸マンションと比べても格安で買い上げられていることは間違いありません。
雇用促進住宅をビレッジハウスしか入札しない理由とは?
雇用促進住宅を競争入札した時、その多くをフォートレス・インベストメント・グループが入札したそうです。
なぜ他の不動産会社は参加しなかったのでしょうか?
雇用促進住宅は古い建物であり、リフォーム・リノベーションや維持が大変だという理由があります。
さらに、最も不安視されている理由は「家賃回収」です。
昭和時代に作られた雇用促進住宅は、労働者の技能向上と経済発展を促進するために、低家賃で住むことのできる環境を提供することが目的でした。
そのため、雇用促進住宅時代から住んでいる人から「家賃回収が難しいかもしれない」という懸念が広がっていたことが考えられます。
安い家賃設定は低所得者・生活困窮者の入居が増加するため、大家としては家賃滞納の心配があります。
不動産業者が雇用促進住宅の入札に消極的だったのは、格安な建物を取得した後に家賃の回収が難しいと見込まれたためだと思われます。
ビレッジハウスの家賃回収は?
ちなみに、ビレッジハウスの家賃回収はアプラスが担当しています。
アプラスといえば、クレジットカードで知られる信販会社ですね。
アプラスは家賃回収や督促などのサービスを提供しており、お金の回収を専門に行うプロチームでもあります。
私も過去に何度かビレッジハウスの家賃を滞納したことがありますが、長期滞納になると裁判や強制退去の可能性があるため、遅れずに支払いを心掛けることが重要です。
雇用促進住宅をビレッジハウスがリフォーム・リノベーション
ビレッジハウスは、雇用促進住宅時代の歴史がある建物です。
そのため、築数十年という経年劣化により、傷んでいる箇所も多かったのですが、積極的にリフォーム・リノベーションを行っています。
- 「リフォーム」は、原状回復を目指す作業で、汚れや壊れた箇所の修繕・交換などが含まれます。
- 「リノベーション」は、リフォームを一歩進め、新たな機能を導入し、住環境の価値を向上させる改修作業を指します。
例えば、、畳や壁紙を張り替えたりするのが「リフォーム」で、バランス釜から給湯器への変更、トイレにウォシュレットの取り付け、畳からクッションフロアへの変更など、生活性能の向上を目的としているのが「リノベーション」です。
ビレッジハウスが具体的にどのようなリノベーションを施しているかについては、「建美家」の記事を参考にすると良いでしょう。
そこでは、雇用促進住宅時代の様子も垣間見ることができ、ビレッジハウスがどのように美しく生まれ変わったのかが詳しく紹介されています。
ビレッジハウスと雇用促進住宅の関係についてのまとめ
ビレッジハウスと雇用促進住宅の関係について紹介しました。
雇用促進住宅は廃止・譲渡が決まり、低価格で競争入札が行われたところをソフトバンクグループになるフォートレス・インベストメント・グループが安く買い取りました。
取得後、ビレッジハウスは部屋を新しくリノベーションし、低所得者向けの手頃な家賃の賃貸マンションとして提供されています。
積極的にフリーターやシングルマザー、高齢者、外国人などの入居者を募り、審査も甘めとなっています。
不動産会社の審査に不安を感じている方や低所得で通るか心配な方は、ビレッジハウス公式サイトへの問い合わせを検討してみるのがおすすめです。