最近、物価や住宅費の高騰が続き、特に都市部では、家賃が大きな負担となっていますね。
少しでも家賃負担を減らしたい…そんな中、注目されているのが「市営住宅」です。
市営住宅とは、地方自治体が運営する公営住宅の一種で、生活が苦しい低所得者向けに、割安な家賃で提供される住宅です。
- 毎月の家賃を安く抑えたい
- 安定した住まいに住みたい
と考える方にとって、魅力的な選択肢の一つといえるのではないでしょうか。
一方で、
- 市営住宅って、古くて暗い団地のイメージがある…
- 一人暮らしでも入れるの?
- そもそも入居の条件が厳しそう…
といった、不安や疑問を持つ方も多いかと思います。
そこで、このブログ記事では、市営住宅の入居条件や家賃について解説していきます。

横浜市を例に、条件や家賃について解説していきます。
市営住宅とは? 公営住宅との違いと基本を知る
「市営住宅」という言葉は聞いたことがあっても、何となく市が運営してそうだな?くらいで、詳しい条件や仕組みはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、市営住宅とは何か?その基本的な情報を解説していきます。
市営住宅とは、市区町村が運営する「公営住宅」の一種です。
公営住宅には、都道府県が運営する「都営住宅」や「府営住宅」、市区町村が運営する「市営住宅」や「町営住宅」「村営住宅」などがあります。
つまり、市営住宅は、国や自治体が、生活が苦しい低所得者の方々に対して、安い家賃で提供する「公共の賃貸住宅」なのです。
その大きな役割は、経済的に厳しい状況にある方々のセーフティネットとして、安定した居住環境を提供することにあります。
市営住宅と民間賃貸住宅との違いは?
「市営住宅」と「民間の賃貸住宅」の最も大きな違いは、「運営主体」と「目的」です。
民間の賃貸住宅は、不動産会社や大家さんが利益を得ることを目的に運営されています。
一方、市営住宅は、利益追求ではなく、生活に困窮している方々への支援を目的として、市区町村が運営しています。
そのため、市営住宅は、民間の賃貸住宅と比べて家賃が安く抑えられているのです。
なぜ市営住宅の家賃は安く設定されているの?
市営住宅の家賃が安い理由は、建設や運営に税金が使われているからです。
税金によって建設費や維持管理費の一部が使われているため、その分、入居者の家賃負担が軽減されているのです。
これは、公営住宅法に基づき、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、国民生活の安定に寄与する」という目的があるためです。
市営住宅はどんな人向け?
市営住宅は、住宅に困窮し、収入が一定基準以下の世帯を対象としています。
特に、高齢者や家族世帯など、社会的に支援が必要とされる方々が安心して暮らせるよう、配慮されています。
市営住宅はどんな住宅?
市営住宅と聞くと、古い団地をイメージする方もいるかもしれません。
確かに、築年数が経過した建物も多く存在しますが、近年ではバリアフリーに対応した高齢者向けの住宅や、ファミリー向けの住宅など、多様なニーズに対応した住宅も増えてきています。



民間の賃貸住宅を利用した「借上住宅」もあります。
市営住宅とは?横浜市を例に解説
市営住宅とは何か?その基本的な仕組みを解説しました。
ここでは、例として「横浜市の市営住宅」について、その条件や家賃などを解説していきます。



その他の地方自治体も大体同じ流れになるので参考にしてみてください。
横浜市における市営住宅の役割
横浜市は、人口約377万人が暮らす大都市です。
多様な世代が暮らす横浜市において、市営住宅は、生活に困窮する市民のセーフティネットとして重要な役割を担っています。
横浜市には、令和5年4月現在で、約3万戸の市営住宅があります。



思っていたより多いですね。
市内18区の各地に市営住宅が建てられていて、駅から近い便利な立地の団地もあれば、緑豊かな環境に囲まれた団地もあり、ライフスタイルに合わせて選ぶことができます。
横浜市営住宅の募集方法
横浜市の市営住宅の募集には、「定期募集」と「常時募集」の2種類があります。
- 定期募集:
年2回(4月と10月)実施される、多くの住宅を対象とした大規模な募集です。 - 常時募集:
定期募集で応募がなかった住宅や、入居辞退などにより空き家となった住宅を、先着順で受け付ける募集です。
それぞれの募集時期や対象住宅などの詳細は、横浜市住宅供給公社のホームページなどで確認できます。
横浜市営住宅の募集から入居までの流れ
横浜市営住宅の申し込みから入居までの流れは、以下のようになります。
- 募集情報の確認:
横浜市住宅供給公社のホームページなどで、募集情報を確認します。 - 申し込み:
募集期間中に、所定の申込書に必要な書類を添えて、横浜市住宅供給公社へ提出します。 - 抽選:
応募者多数の場合は、公開抽選が行われます。 - 入居資格審査:
当選者を対象に、入居資格があるかどうかの審査が行われます。 - 入居説明会:
入居予定者を対象に、入居に関する説明会が開催されます。 - 入居手続き:
敷金の納入や、入居契約の手続きを行います。 - 入居:
鍵の受け渡しを受け、いよいよ入居です!
横浜市営住宅の入居条件とは?
ここからは、横浜市営住宅の入居条件について解説していきます。
基本的な入居条件
横浜市営住宅に申し込むためには、いくつかの基本的な条件を満たす必要があります。
これらの条件は、市営住宅が公営住宅として、生活に困窮する低所得者の方々を支援するという目的のために設けられています。
まず、申込者は申込時に次の1~7までのすべてに該当していることが必要です。
- 申込者は成人であること。
- 申込者が、市内に在住(又は在勤)6か月以上であること。
- 夫婦(婚約者及び内縁関係にある者を含む)または親子を主体とした家族であること。
- 現在、住宅にお困りであること。
- 申込者及び入居しようとする家族について、住民税の滞納及び市営住宅の使用に関する債務がないこと。
- 市営住宅で円満な団地生活ができること、また、申込者及び入居しようとする家族が暴力団員でないこと。
- 世帯の収入が、収入基準以内であること。
これらの条件を満たしていなければ、申し込み自体ができませんので注意が必要です。
市営住宅の収入条件
入居資格の中でも、特に重要なのが収入条件です。
横浜市営住宅の場合、世帯の収入が定められた基準(収入基準)以下であることが求められます。
収入基準は、「一般世帯」と「裁量階層」で異なります。
- 一般世帯:
世帯の月収額が158,000円以下 - 裁量階層:
世帯の月収額が214,000円以下
裁量階層とは、高齢者世帯、障害者世帯、子育て世帯など、特に居住の安定を図る必要があると認められる世帯のことです。
単身者の入居条件
原則として、横浜市営住宅は単身での申し込みはできません。
しかし、以下のいずれかの条件を満たす場合は、単身でも申し込むことができます。
- 申込者が60歳以上の方
- 申込者が障害者手帳をお持ちの方(障害の種類や等級による制限あり)
- 生活保護を受給している方
- その他、特別な事情があると認められる場合
一人暮らしを希望する高齢者や障害者の方でも、市営住宅への入居のチャンスがあります。
特認組について
横浜市営住宅では、一般組とは別に「特認組」という申込区分を設けています。
特認組は、特定の資格を有する世帯を対象とし、当選率が一般組よりも優遇されています。
具体的には、以下の世帯が特認組に該当し、当選率が一般組の3倍となります。
- 母子・父子世帯
- 高齢者世帯
- 障害者世帯
- 公害病認定患者世帯
- 低額所得者世帯
- 原爆被爆者世帯
- 多子世帯
- ハンセン病療養所退所者世帯
- 子育て世帯
- DV被害者世帯
- 犯罪被害者世帯
- 難病患者等世帯
- 公共事業により住宅を除去される世帯
また、過去6回以上連続して申し込みをしている方、過去5回連続で申し込みをしている方、子育て支援の対象世帯(同居者に中学校卒業までの子がいる)は、当選率がさらに優遇されます。
その他の条件
上記のほかにも、横浜市営住宅では、いくつかの条件が設けられています。
- 現在、住宅に困窮していること(持ち家がある場合は、原則として申し込み不可)
- 住民税を滞納していないこと
- 過去に市営住宅で不正行為をしていないこと
- 暴力団員でないこと
これらの条件は、市営住宅が公営住宅として、適正かつ公平に運営されるために必要なもとなります。



市営住宅に入るための条件はかなり厳しいですね。
横浜市営住宅の家賃(使用料)を徹底解説!
ここからは、横浜市市営住宅の家賃(使用料)について、その仕組みや計算方法、具体的な金額まで解説していきます。



横浜市の市営住宅の家賃がどのように決まるのか、一緒に確認していきましょう!
家賃(使用料)の決まり方
横浜市市営住宅の家賃(使用料)は、公営住宅法に基づいて、毎年度、入居世帯の収入や住宅の立地、規模、築年数などに応じて算定されます。
つまり、すべての入居者が同じ家賃を支払うわけではなく、世帯ごとに家賃が異なるということです。
住宅使用料(家賃) = 家賃算定基礎額 × 市町村立地係数 × 規模係数 × 経過年数係数 × 利便数係数
家賃算定基礎額とは?
家賃算定基礎額とは、入居世帯の収入に応じて設定される金額です。
収入が多い世帯ほど、家賃算定基礎額は高くなります。
横浜市では、世帯の収入をいくつかの区分に分け、区分ごとに家賃算定基礎額を設定しています。
これは、より経済的に厳しい世帯の負担を軽減するためです。
収入区分 | 世帯の月収額 | 家賃算定基礎額 |
---|---|---|
第1区分 | 0円~104,000円 | 34,400円 |
第2区分 | 104,001円~123,000円 | 39,700円 |
第3区分 | 123,001円~139,000円 | 45,400円 |
第4区分 | 139,001円~158,000円 | 51,200円 |
第5区分 | 158,001円~186,000円 | 58,500円 |
第6区分 | 186,001円~214,000円 | 67,500円 |
この表を見ると、収入が少ない世帯ほど、家賃のベースとなる金額が低く設定されていることがわかりますね。
4つの係数について
家賃の計算には、家賃算定基礎額に加えて、4つの係数が掛け合わされます。
これらの係数は、住宅の立地や規模、築年数、利便性などを考慮して、家賃を調整するためのものです。
- 市町村立地係数:
市町村ごとの地価水準に基づいて設定される係数です。横浜市の場合は「1.20」です。 - 規模係数:
住宅の床面積を基に算出される係数です。床面積が広いほど、係数は大きくなります。 - 経過年数係数:
住宅の築年数に応じて設定される係数です。築年数が新しいほど、係数は大きくなります。 - 利便数係数:
駅からの距離や周辺環境、設備など、住宅の利便性を考慮して設定される係数です。利便性が高いほど、係数は大きくなります。同じ団地内でも、棟によって利便性係数が異なる場合があります。
具体的な家賃例は?
では、実際に横浜市市営住宅の家賃はいくらくらいになるのでしょうか?
計算式だけではイメージしにくいと思いますので、具体的な例を見てみましょう。
例えば、以下のような条件の市営住宅があったとします。
- 世帯の月収:
13万円(第3区分に該当) - 住宅の立地:
横浜市内(市町村立地係数 1.20) - 住宅の床面積:
50㎡(規模係数 50÷65=約0.77) - 住宅の築年数:
20年(経過年数係数 1-0.001×20=0.98) - 利便数係数:
1.0
この場合、家賃は以下のように計算されます。
家賃算定基礎額(45,400円)× 市町村立地係数(1.20)× 規模係数(0.77)× 経過年数係数(0.98)× 利便数係数(1.0)= 約41,100円
あくまで一例ですが、横浜市市営住宅の家賃の目安として参考にしてください。もちろん、これはあくまで一例であり、住宅の条件によって家賃は大きく変わってきます。
家賃以外にかかる費用はあるの?
市営住宅では、家賃のほかに、共益費や自治会費などが必要となる場合があります。
- 共益費:
廊下や階段などの共用部分の電気代や水道代、清掃費用などに充てられる費用です。 - 自治会費:
団地内の自治会活動や、コミュニティ活動に使われる費用です。
これらの費用は、団地ごとに異なりますので、入居前に確認しておきましょう。
家賃の減免・猶予制度
横浜市市営住宅には、特別な事情がある場合に、家賃の支払いが減額されたり、猶予されたりする制度があります。
- 減免制度:
重度の障害者がいる世帯や、収入が著しく減少した世帯など、一定の条件を満たす世帯は、申請により家賃が減額される場合があります。 - 猶予制度:
失業や病気など、やむを得ない事情により一時的に家賃の支払いが困難になった場合、申請により支払いが猶予される場合があります。
これらの制度は、入居者の生活を支援するためのものです。
該当するかもしれないと思ったら、早めに横浜市住宅供給公社に相談しましょう。
家賃は毎年見直される
横浜市市営住宅の家賃は、毎年見直されます。
これは、入居者の収入状況や、住宅の価値が年々変化するためです。
家賃に変更がある場合は、事前に通知がありますので、しっかり確認するようにしましょう。



入居後も、毎年、収入を申告する義務があるので忘れないように注意してください。
市営住宅とは?横浜市を例に家賃・条件・申し込みの流れをわかりやすく解説のまとめ
今回のブログ記事では、横浜市の市営住宅を例に、市営住宅とは何か、その概要から、入居条件、家賃、申し込み方法まで、詳しく解説してきました。
市営住宅は、住宅に困窮する低所得者の方々に対して、国や自治体が割安な家賃で提供する公営住宅です。
ここで、横浜市市営住宅について、重要なポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
- 市営住宅とは:
横浜市が運営する公営住宅で、住宅に困窮する市民に対し、安い家賃で提供される賃貸住宅です。 - 入居条件:
横浜市に住んでいるか勤務していること、収入が一定基準以下であること、住宅に困窮していることなどが主な条件です。高齢者や障害者には、特別な配慮や条件緩和もあります。 - 家賃:
入居者の収入や住宅の立地・規模などによって決まり、民間賃貸住宅と比べて家賃が抑えられています。収入に応じた家賃設定や、減免制度もあります。 - 申し込み方法:
定期募集(年2回)と常時募集があり、横浜市住宅供給公社のホームページなどで募集情報を確認できます。申し込みは、必要書類を揃えて、横浜市住宅供給公社の窓口で行います。
市営住宅は、厳しい条件をクリアしなければならない、ハードルが高いものかもしれません。
ですが、市営住宅は経済的に魅力的な選択肢でもあります。
このブログ記事を参考に、市営住宅への理解を深め、入居への一歩を踏み出していただければ幸いです。